無数の小さい日の丸の旗

 無数の小さい日の丸の旗を持って、出迎えている、人々の中から一人の女が、ふいに一等卒の柿本の前にとび出した。中年の歯を黒く染めた女だった。彼女は、柿本の腰にすがりついて、わッと泣き出した。……「宇吉ツぁん! よう来てくれたのう、宇吉ツぁん!……」「中ン条のおばさんじゃないか?」ちょっと一等卒は上官...

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外国人

 外国人は、たまに自分の国の人間の顔を見ると、それだけに心強いような気持になった。 彼等は、国と言葉を同じゅうしている関係から、この騒乱の中にあって、どんな困難にむかっても、どんな襲撃にむかっても、自分達は力を合して、堪えて行かなければならない。彼等は同胞というセンティメンタルな封建的な感情に誘惑...

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熟練工の代りはない

「なまけて、何もしゅくさらんとて、工場から飯を食わしゅてやっとるんだ。――嬶や、親が、かつえるなんて、あいつら、生大根でも、人参の尻ッポでもかじっとりゃいいんじゃないか! 乞食のような生活をしゅとるくせに、威張りやがって!」 賃銀を渡せば工人は逃げる心配があった。そして、あとに、熟練工の代りはない...

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