西南角の土塁の彼方

 西南角の土塁の彼方には、遙かに、草原と、黄土の上の青畑と、団栗《どんぐり》や、楢や、アカシヤの点々たる林が展開していた。霞んで見える。いつも、ほっついている山羊の群れもなかった。――百姓が略奪を用心してかくしたんだろう。階級が一ツちがっていても、いいだくだく[#「いいだくだく」に傍点]と、命令を聞...

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旅団司令部

 旅団司令部と、大隊本部の間は、急設電話によって連絡された。大隊本部と、歩哨線も、緊密に連絡された。兵士は、命令一下、直ちに武器を携えて、戦闘に応じ得る状態の下に置かれた。 辻々では歩哨が、装テンした銃を持って往き来する支那人を一人一人厳重に誰何《すいか》した。 僅か、一昼夜半の間に、市街は、す...

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軍隊

[#5字下げ]一七[#「一七」は中見出し]

 軍隊は、工場の寄宿舎の一と棟に泊まっただけだった。 職工には、何等干渉しなかった! それは坂東少尉が注意した通りだった。 隊長も、士官も、武士|気質《かたぎ》を持っていた。軍人が労資の対立にちょっかいを入れることを潔《いさぎよ》しとしなかった。...

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