軍隊

[#5字下げ]一七[#「一七」は中見出し]

 軍隊は、工場の寄宿舎の一と棟に泊まっただけだった。 職工には、何等干渉しなかった! それは坂東少尉が注意した通りだった。 隊長も、士官も、武士|気質《かたぎ》を持っていた。軍人が労資の対立にちょっかいを入れることを潔《いさぎよ》しとしなかった。...

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貧民窟

 貧民窟から、二人の支那人が引っぱって来られると、上川は、それによって、焦慮と、憤怒と、冷かされた鬱憤を慰めるものゝように、拳を振りあげて支那人に躍りかゝった。あとから、ほかの兵士達も、つゞいて二人の乞食の上に、なだれかゝった。殴ったり、踏んだり、蹴ったり、日本語で毒づいたり。しかし、いくら、どんな...

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つるはしを振るっている連中

「誰れか俺れのやつを間違って着とるんじゃないんか。」ますますいらいらした。負け惜みを云う。「どこにぬいだったんだい? ぼんやりすな。」「どこちゅうことがあるかい。ここだい。」「ボヤッとしとるからだ。今に生命までがかッぱらわれてしまうぞ。戦地にゃ物に代りはねえんだぞ。」 つるはしを振るっている...

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